2012年10月22日月曜日

クマに鈴

熊の巣穴の深みから飛び出るフリークポップ
 
 夜中、やさしいギターの音がする。どこかへ連れて行ってくれる。甘いコード、ゆっ
くり弾いてる。井の頭の池の向う側から、かすかに響いている。そっちに行かなくても
、静かに聞こえる。時おり鴨の夜鳴きや人らの笑い声、酔払いのあいさつの声がする。
アコーディオンもかすかに響く。

 クマに、鈴。熊に鈴は似合わないだろう。ましてや鈴は熊よけに使われるくらいだか
ら、鈴をつけられたクマは、うんざりしてしまうだろう。滑稽ともシュールともつかな
い、よく分からない図を想ってしまう。
「先生、音楽とは何なのでしょうか?」音楽そのものに一心に溶け入ることのできる人
らがいる。楽器を奏で出すと、楽しくて仕方がない。楽しいうちにやっていると、何か
作品が出来ている。もちろん、そればかりでやっていける人というのは、ほんの一握り
だろうけれど。彼らはとんとそうでない。悩んでいる。彼らの言葉や映像を見れば分か
るけど、自分たちの出せる最大限の形象を求め、もがいている。この楽曲からは、もが
きぬいて解き放たれて、浮いている悩みを感じる。「キーワードは“生身”です」生活
していることの不可思議を不可思議のまま、宙に解き放っている。
そして、素敵にしゅっとまとまっている。だから色んな感情、冗談、本気、入り混じっ
てふいと顔を出す。そこに触れ、新しい仲間に出会ったように急に笑いが止まらなくな
ったり、急にシリアスな気分になったり、触れ過ぎてウルサいから一曲跳ばしたくなっ
たりする。

 音楽や映画、本や芝居。好きな人はどんどん深みに入っていき、あまりに好きだと深
みから出るのが厭になってしまう。人はそうして、マニアックになる。マニアックにな
ると、あの人はマニアックだから……と人びとから敬遠されたりする。しかしマニアも
マニアで、わかってはいる。深みに浸って、ひとりか数人で、楽しんでいながらも、同
好の人が少なく、大きなライブやパーティもないものだから、分かり合えないのは仕方
ないけど、寂しいなとも思う。持て余したりもする。結局趣味というのは、一面、空虚
の穴の周りを懸命に廻っているだけなのだから。

 クマに鈴はきっとマニアだ。音楽の、濃厚な。でも、そうマニアックでありつつも、
誰にでも伝わるものを作りたい。そうして悩んで、たぶん人間力でもって、面白い音楽
をつくった。親しみやすいメロディー、アメリカーナのようなアコースティックを基調
に、時に電子機器やラップを交え、こだわりぬいた美しい唄をつくっている。

 どこか懐かしいメロディーでもある。気づけば音は、頭のどこかでエンドレスに再生
され続けている。愛おしいポップスのように、怪奇現象の音のように、とても優しく、
ささやく鈴の音のように鳴り続けている。「斉藤さんと、横山、田中……」とか。
 
それは悩ましげな、素敵なデュオなのです。
11月11日。ポッキー&プリッツの日ですね。その日に1stアルバム完成記念パーティを
するそうです。皆さんお集りをお願い致します。場所は幡ヶ谷、forestlimits。

いろいろと、人も出るようです。詳細はこちらでしょう。
http://www.myspace.com/kumanisuzu
  
  
よろしくです。

12月2日に彼らと共同企画でイベントをする予定です。追ってお伝えします。