そうして、大人になった私らは、ゾルゲル音楽をつくった。アメーバ状の人びとを保存して、いつまでも楽しめるように。湖に垂らしたり、フラスコに入れて吹いたりする。私らはうっとりして、時に大笑いして見ている。それは水面をたゆたうように広がり、水中に垂れゆくのか垂れないのか、微妙なところで留まる。留まり続ける。いつまでも続くイントロダクションのように、空間を満たす。
奏でているのは、彼がひとりで奏でている。ゾルゲル音楽を作ったのは彼ひとりだろうけど、それを鑑賞する人がいてそうなったのだろうから、私らが作ったということにしている。
奏でている間は、何かゾルゲル状のものが、あらゆるところから垂れている。垂れ続けている。それは彼の装置の一部で、じっさいに音に関係しているのかはわからないが、繊細なところで反響などに関係しているのだろう。見た目には彼が作ったゾルゲルの国があって、その中の威厳のない王様という風情である。
暗闇の中、ゾルが静かに垂れている。床で彼は今度は、ゲームボーイを音響に繋げて音を出している。そのあとクナイフという楽器を吹いている。ぴゅ、ぴゅうという音が、たゆたう。大きなフラスコに、マウスピースをつけたようなガラスの筒で、水が入っている。音はあとは、瓶に入れたゾルゲルをぷぅと吹いて、マイクで増幅したり反復させたりしている。時々で音やモノが増えたり減ったりする。
クナイフを作った人は、クナイフという。彼女は歌手で、ガラスの工作もしていた。ゾルゲルプロと同じくらいの背丈で、ある時酒を飲んで夜が明けて、私が電車で先に帰ろうとすると、2人で見送ってくれた、にこにこと手を振り続けてくれた。本当に素敵な2人だけど、今はゾルゲルプロは男一人になっている。何があったのかはよく知らないが、今でもクナイフはクナイフを量産しようとしたり、サポートしているらしい。
——ゾルゲルプロの「プロ」は、どういう意味ですか
3つあります。プロフェッショナルの「プロ」と、プロダクションの「プロ」。それと◯◯◯◯◯◯◯◯の「プロ」です。
——ゾルゲルプロの一日を教えて下さい。
朝8時ごろ起きます。9時からバイトで、17時に終る。18時ごろ帰宅し、2時間寝ます。起きて、ゾル作業をします。だいたい1時か2時まで。こうやって夜寝ると、目がさえるのです。バイトの後、時どき夜遊びにいくと、とても眠いです。
——座右の銘は
私は言葉を信じません。
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