2011年12月17日土曜日

white light (rewrite


タローとジョーは、夜道を駆けた。疾駆した。
疾駆しながらタローは、何故「疾」にはやまいだれ、が付いているのか、疑問に思った。
疑問は、新しい景色を生んだ。景色はこう言った、「あなた、前をみなさい」
するとそこには、輝くあれが。
ジョーは又、別の景色を見ていた。彼は「疾」についてなんて、考えない。だって漢字を知らないから。だから、「running!」と考えていた。考えているのか、考えていないかも、わからぬまま。
ふたりは、内緒だけれど、つき合っていた。
「we're runnin!」ジョーは言った。
タローはシャイなので、俯きがちに「そうね、ラニン……」とぼそりと言った。
そんなタローをジョーは、
「so cute!」と思った。
ああ、夜が待ち遠しい。夜は言うまでもなくそこに居たけれど、ホントウの夜はこれからだった。
息を切らして二人がついたのは、とあるモーテル。ネオンサインが輝く「ホテルはリバーサイド、河沿いリバーサイド」ホテル。ラストスパートでフロントに辿り着くと、ふたり、一部屋、カオの見えないフロントに、そう告げた。
フロントは、どうも二人が男同士な気がするので訝しげにしていると、タローはくにゃり、韓国人女性の真似をして、「소 녀들의 시대가 왔다(少女たちの時代が来た)」、ジョーに体を預けながら、言った。するとタローが健康そうな女性に見えたので、フロントも安心して「301ね、ごゆっく りね、朝は12時までね、そのあとは1時間1,000円だからね、ゆっくりね」と応えた。あと、10時間。二人はくっつき合う。
でも最近、タローは段々女の子みたいになってきた。どうして、心なしか肌も柔らかく、服装もくにゃくにゃしているの。
ジョーはタローの、男に惚れたの。
、、、、、
「ああ、河だ、向う、河」
ジョーはタローに、お金を借りたの。
100ドル札、必ず返すから、口座番号をメールで送って。そう言って、もう10万円くらい渡しているけど、しょうがねえ、詰め寄られて、タローはジョーにお金を貸した。
ジョーは、お金が無かった。すぐお酒を買ったしドラッグも買ったし、しかも妻と娘がいた。
、、、、、
『白い散歩』
真っ暗な中、真っ白な外に出ました。まっ暗かと思いきや、街灯もない山の中は、
意外な明るさでした。
雪がふっているからでしょう。雪は月明かりをいっぱいにたくわえて、
辺りをぼんやりと照らしていました。
都会育ちの私らは、吹雪の中歩きました。セブンイレブンを探して。
明るいとはいっても、やっぱり山の中。しかも都会育ち。
私は、一歩一歩前に進むのが、怖くてしかたありませんでした。
ふりたての雪はまっさらでマサラで、なんの痕跡もなく、雪というより、もやのよに見えました。
歩きながら2人は幽霊みたいと思いました。突然視界に広がる景色は、あんまりこの世っぽくありませんでしたし、このあたりに住んでいる人が、大雪の中、手をつないで歩く2人を見たら「あ、おばけ」、と思っただろうと思います。
幽霊のよう、と思いつつ、私は、自分の足あとを決して忘れてはならない、と、こっそり誓いました。
途中、何度かふりかえり、来た路についた4つの足跡をかくにんしました。
幽霊の足あとは頼りなく
続いていきました。
、、、、、
「このハナシ、知ってる?」ジョーはタローに言いました。
タローもジョーに言いました「僕らもあれだね、ユーレイみたい。」
ユーレイは2人、夜のすき間に重なり合い、肉欲を満たしていきました。
2人こうくっつき合って、飽きることなくさすり合い舐め合い、ドウブツみたいに。
その姿は、雪の中のユーレイのよう、ぼんやりと、白い影みたいで。
ドアが閉じる、灯りが消える、夜が明けて
、、、、、
、、、、、
、、、、、
ドアが開きました。朝が来たら、私らは路上にいた。
路上には、いろいろな人びとがいます。それは片隅で寝袋もしくはボール紙にくるまって寝転がってる人ばかりではなく、そこで煮炊きをして家族ごろりと棲んでいる人ら、おぉいあのすいませんが、、といって1000円の商品券と引き換えにアンケートを募る人ら、もしくはあはぁと言って募金を募る人ら、ただただタムロしてる人ら、、、
そうではなく、待っている人が一番います。恋とか夢とか抽象的な何かをずっと待っている人。それか単に待ち合わせをしてる人。
それか、歩いている人。ただただ歩いている人や、どこかに向って歩いている人。
タローは、ただただ歩いていました。歩く事、ただ歩く事。使い捨てカメラを持って、けれどカメラは一度も使わないで。ただ彼は歩いていました。明治通りに沿って、どこからどこまで?
タローは今、ひとりでした。比喩ではなく本当に。ジョーはあの日、お金を置いて逃げました。はるか遠く、雪のない国へ。
タローは別に、そうか、へえ。と思いました。比喩ではなく本当に。「へえ」と思って、それきりへえと思ってるばか
りです。
、、、、、
歩いているそこは、広尾だった。ここはちょっとヘンな街で、外国の重要人物たちが集う故、次元の違うセレブリティがそこかしこに紛々している。けれど、セレブというよりか、外国そのもののようで、路は広々、公園も広々、草木も一杯、カフェーがある……など、だからそれへの憧れがヘンに「セレブ!」と言わせるのかもしれない。
タローはまだ、20を過ぎたばかりだった。楽天的で、また別の男が見つかるさと思っていた。歩いていると、雰囲気を感じる、それはダークで仕方ない、眼の端に闇がわだかまってるような、匂いのしない臭気が。
レストランとカフェの間、白いなんか、戸の前に黒ずくめの男がいました。
どうも異様な雰囲気で何か、ぼそり、ぼぞり、彼の頭の中に直接話してるように響く声を発しているのです。何を話しているか、分からない言葉で。
けれど、これは未来の自分では? 彼は直感しました。というか、第6感しました。だから口を抑えて、通りを早足に、逃げた。
、、、、、

0 件のコメント:

コメントを投稿