2011年12月21日水曜日

仮題

星きら王子は、空を飛びました。空には星屑がいっぱい。彼はそれらを一つ、ひとつ、一つ、ひとつ、一つひとつ、一つ、ひとつ一つ、ひとつ一つ、ひとつ、一つ、ひとつ、一つ、ひとつ一つ、ひとつ、一つ、ひとつ、一つ、ひとつ、一つ、ひとつ、一つひとつ 、手癖の好きなままに拾ってはちぎり拾ってはちぎり、拾ってはちぎり拾ってはちぎり、拾ってはちぎり拾ってはちぎり、しているうちに、持ちきれなくなったので、一先ずあなたの家の屋上に休みました。
少し休んで手のひらをみると、指紋の線に、きらきらとナノサイズの何かが瞬いています。 それは、星の砂のようでした。ほのかに暖かく、オキナワの匂いがしました。と、彼は気づきましたが、オキナワに行った事がない……だから左膝を外側に曲げ、日本の南の空を目指し、虚空を飛びました。すると右目上方、走馬灯のように、ホッキョクグマ、白いヘビ、ホワイトタイガーが見えます。何でしょう、寒かったのか、半裸だから。そうして今、気づくと彼はホワイトタイガーズレイク、インドの北西の隠れたところにある。に、いました。腰に布を一枚当てているばかりで、ぼさっと湖面を眺めている。子どもたちが裸で飛び込む。老人が洗濯をする……地べたはゴミばかりで、陽が鋭い。
彼の旅は、こうして始まりました。
(よくわかる児童文学『星きら王子、空をとぶ』より)




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